2009年3月1日日曜日

直接投資

金利・配当収入等を目的とした間接投資と異なり、直接投資は経営の実質的な部分が国境を越えて動くため、両国の経済に与える意味が大きい。
具体的には、製造業や流通業などのグリーンフィールドでの投資は、雇用創出効果が大きい。
現地への技術移転が期待できる(特に先進国から開発途上国への投資の場合)。
外国の進んだ経営手法が直接投資を通じて流入する。日本においても、「カテゴリー・キラー」といわれるアメリカの大手流通産業が1990年代以降日本に進出したことが、日本の流通業界の経営に大きな影響を与えた。また、ルノーが日産自動車を買収し、カルロス・ゴーン社長が日産の建て直しを成功させたことも記憶に新しい。
製造業の直接投資により、それまで輸入していた製品を国内で製造できるようになり、さらに輸出産業に発展できれば、経常収支の改善が期待できる。
これらのように、直接投資を受け入れることによるメリットは大きいため、日本を含む主要国は、政策として直接投資の受入を積極的に行っている。

一方、対外直接投資については、国内産業の空洞化を促進すると考えられることが多く、政策的に促進する国は少ないが、日本では、1980年から1990年にかけて欧米諸国との貿易摩擦が激しかった時代に、政治的な配慮もあり、官民を上げて欧米への製造業の直接投資を推進していた。現在、アメリカの自動車メーカーの業績が不振であるのに、日本に対する批判が起こらないのは、日本のメーカーがアメリカでの現地生産を定着させていることが要因のひとつと考えられている。

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